病院・医療・クリニックの経営サポート|東京都港区 税理士法人ASC・(株)エーエスシー

お問い合わせ

医療経営サポートブログ

ホーム > ブログ一覧 > 医療ニュース②

医療経営サポートブログ

医療ニュース②

2015.08.26

◆医療事故調査 第三者機関に日本医療安全調査機構指定
新体制・医療事故調査・支援センター、10月1日施行

――厚生労働省
厚生労働省は8月17日、10月から始まる医療事故調査制度の中心組織となる「医療事故調査・ 日本医療安全調査機構」(東京都港区浜松町)を指定したと発表、官報公示した。
同機構は第三者機関である医療事故調査・支援センターの中核を担い、今後遺族が病院の調査に納得できないケースで、センター(同機構)が再調査する。厚労省は5月に第三者機関の候補を募集し、同機構だけが申請をしていた。

医療事故調査制度は2014年6月成立の改正医療法に盛り込まれ、2015年10月1日に施行される。医療死亡事故の原因究明と再発防止が目的。第三者機関は医療死亡事故が起きた医療機関の院内調査の結果について報告を受け、分析して再発防止につなげる。また遺族が院内調査の結果に納得しない場合、遺族の届け出を受けて独自調査する、などの役目を負う。
厚生労働大臣が一般社団法人・一般財団法人を申請により医療事故調査・支援センターに指定することが規定されている(改正医療法第6条の15第1項)。今回、指定された日本医療安全調査機構は診療行為に関連した死亡について、原因究明や対応策を周知する「診療行為に関連した死亡の調査分析モデル事業」などを実施している。
新制度では、医療事故調査・支援センター(同機構)に対して、医療機関の院内調査の報告が、医療に起因する(疑いを含む)死亡・死産で予期しなかったものが生じた場合に義務付けられる。
医療事故調査・支援センター(同機構)は、院内調査の結果を整理・分析して、医療機関や遺族に原因や再発防止策などの結果を報告するほか、遺族らの依頼に応じた必要な調査を実施。調査業務に関する結果などを3年間保存する。このほか、医療機関の職員らに対する医療事故調査の知識・技能に関する研修や、再発防止に向けた普及啓発を行う。
 
新体制の日本医療安全調査機構の組織は、代表理事を日本医学会会長の高久史麿氏が務める。8月3日の理事会で、専務理事には元厚生労働省健康局長の田中慶司氏が、常務理事には同機構の前中央事務局長の木村壮介氏がそれぞれ新たに選任された。中央事務局長にはこの7月1日から、吉田長司氏が就任している

◆人件費が医業利益率を圧迫との分析 福祉医療機構
「医療法人の経営状況」に関するリサーチレポート

――独立行政法人福祉医療機構(WAM)
独立行政法人福祉医療機構(WAM)は8月7日、2008年(平成20年)度から2013年(平成25年)度における「医療法人の経営状況」に関するリサーチレポートを発表した。福祉医療機構では、毎年度、貸付先の経営状況について調査を行って融資先の決算書にもとづいて経年分析をしている。
 
分析結果の要点として、
 2013年度の医業利益率は3.1%と、2008年度から2013年度で最低の数値。
 主な要因として「人件費の上昇が医業利益率を圧迫」との分析。
 平成22年度以降、人件費率が上昇傾向にあることを要因として、医業収益対医業利益率は続落の状態にあり、平成25年度においては3.1%と過去6年間で最低となるなど厳しい結果にあった、と報告された。

黒字法人、赤字法人割合については、平成21年度を境に赤字法人割合が拡大傾向にあり、また医業収益規模が小さい法人ほど赤字の割合が拡大していた。
黒字法人、赤字法人経営状況については、収支の状況については、人件費率の上昇を主な要因として医業収益対医業利益率が低下しており、財務の状況については、赤字法人はもとより黒字法人も資金繰りは年々逼迫していることが分析結果として得られた。

リポートによると、本業からの利益を得る力を示す「医業収益対医業利益率(医業利益率 %=医業利益/医業収益×100)」は、2013年度に3.1%と、調査期間6年間で最低となり、厳しい経営環境が浮かび上がった。この調査の対象となった医療法人数は、1,119~1,544。
 
医業利益率は、2008年度4.1%、2009年度4.8%、2010年度5.0%と上昇傾向にあったものの、それ以降は、2011年度4.6%、2012年度4.0%、2013年度3.1%と下落している。リサーチレポートの著者で、WAMの経営サポートセンター・リサーチグループの浅野俊主査は、人件費率と労働分配率の上昇を主な要因にあげ、「人件費が医業利益率を圧迫している」と分析した。それを示す詳細な数値データも明示されている。
 
ほかにも今回のリサーチレポートは、「黒字法人・赤字法人別にみた経営状況」、「法人の赤字転落要因の分析」、「医業収益増加率別にみた経営状況」について詳述している。

「医療法人の経営状況について」分析に当たった前出の経営サポートセンター ・リサーチグループ /浅野俊主査は次のように傾向を報告した。
「今後、医療法人経営を取り巻く環境はますます厳しくなることが予測されるが、本レポートが医療法人の安定経営に幾ばくかでも寄与できることを期待して、以下に分析結果を述べさせていただく」。

<収支・財務の状況>
【平成25年度の医業収益対医業利益率は3.1%と過去最低に】
診療報酬は平成14年度から四期連続でマイナス改定となったが、平成22年度の改定では平成12年度以来10年ぶりのプラス改定となり、以降はほぼ横ばいで推移している。
平成20 年度から平成25 年度までの過去6 年間の医療法人の経営状況について、収支の状況をみてみると、医業収益対医業利益率(以下「医業利益率」という。)は平成20 年度から平成22 年度まで上昇傾向にあったものが、以降は下落の状態にあり、平成25 年度にいたっては3.1% と過去6 年間で最低の医業利益率となるまでに低下している。主な要因として、人件費率が平成22 年度は54.2%であったものが平成25 年度には55.9%と上昇していることがあげられる。同様に労働分配率も上昇を続けており、平成22 年度に91.5%であったものが平成25 年度は94.8%となり、人件費が医業利益率を圧迫している傾向にあることがわかる。

◆政府、歳出改革で専門調査会初会合 骨太方針実現へ
歳出分野ごとのKPIや改革工程表の作成へ

8月10日、政府の経済財政諮問会議の下に設置された専門調査会「経済・財政一体改革推進委員会」の初会合が開催され、委員会の論点や運営など社会保障・地方財政の歳出改革の実現に向けた検討に着手した。
この委員会の会長には新浪剛史サントリーホールディングス代表取締役社長が務める。同委員会は骨太方針(経済財政運営と改革の基本方針2015)に盛り込まれた「経済・財政再生計画」を着実に実行するために設置。諮問会議の有識者議員ら14人で構成し、分野別に「社会保障」、「非社会保障」、「制度・地方行財政」の各ワーキング・グループ(WG)を発足する。今後は、社会保障や地方財政の歳出改革の実現に向けて、詳細な数値目標や工程表の策定に取りかかり、改革メニューとKPI(成果目標)の具体化を年末にかけて進めるとしている。KPIの例として、医療関連では、「療養病床の病床数」や「後発医薬品の数量シェア」などが挙がっている。
委員会ではWGの議論をもとに、(1)経済・財政一体改革の進め方に関する歳出分野ごとのKPI・改革工程表作成、(2)歳出改革促進のため、予算編成過程からのPDCA構築、(3)毎年度の進捗管理・点検・評価――などを行い、諮問会議に報告する。
 
経済・財政再生計画に関し、内閣府は「デフレ脱却・経済再生」、「歳出改革」、「歳入改革」の3本柱の改革を一体的に推進すると説明。歳出改革は「公的サービスの産業化」、「インセンティブ改革」、「公共サービスのイノベーション」に取り組む。また、計画当初3年間(2016~2018年度)を集中改革期間と位置付け、経済・財政一体改革を集中的に進める。
2016年度予算では、すべての分野の経費を対象に、府省ごとに幅広く歳出改革を進める。また、各府省が予算要求で改革の取り組みや、効果の見込みを明らかにすることが求められ、努力する・しないで府省間にインセンティブとして差をつけるとしている。
 
これまでの経緯をみると、政府が6月末に閣議決定した財政健全化計画では、財政状況の健全さを示す「基礎的財政収支」(PB)を2020年度までに黒字化させる目標を達成するため、医療・介護提供体制を適正化させる方針を打ち出している。今後の工程は、8月に各WGを発足し検討を開始するほか、9月から委員会で各省からのヒアリングや分析を行い、10~11月にWGの検討状況や各団体との意見交換をもとに取りまとめを実施。12月に諮問会議が改革工程表を策定する予定。

◆利用者、過去最多の588万人、2014年度介護サービス調査
厚労省 介護給付費実態調査の結果を発表

――厚生労働省
厚生労働省は8月6日、2014年度(平成25年度)の介護給付費実態調査の結果を発表した。
1 調査の目的―この調査は、介護サービスに係る給付費の状況を把握し、介護報酬の改定など、介護保険制度の円滑な運営及び政策の立案に必要な基礎資料を得ることを目的とした。
2 調査の範囲―各都道府県国民健康保険団体連合会が審査したすべての介護給付費明細書、給付管理票を集計対象とした。ただし、福祉用具購入費、住宅改修費など市区町村が直接支払う費用(償還払い)は含まない。
3 調査の時期―毎月(平成25年5月審査分~平成26年4月審査分)
4 調査事項
(1) 介護給付費明細書―性、年齢、要介護(要支援)状態区分、サービス種類別単位数・回数等
(2) 給付管理票―性、年齢、要介護(要支援)状態区分、サービス種類別計画単位数等
5 調査の方法及び系統

(1)調査の方法
国民健康保険中央会の取りまとめのもとに、各都道府県国民健康保険団体連合会において審査した介護給付費明細書等のデータをコピーし、厚生労働省大臣官房統計情報部に提出する方法により行った。

(2)調査の系統(略)
 
<調査結果概要>
介護サービスと介護予防サービスの利用者は、前年度比22万2500人増の588万3000人で、7年連続で過去最多となった。内訳は、介護サービスが470万9600人、介護予防サービスが151万1000人。両方のサービスを利用した人もいるため、内訳の合計は総利用者数より多くなっている。
15年4月審査分(主に同年3月利用分)の利用者1人当たりの費用は、前年同月より600円増えて月額15万7800円。利用者は原則的にこのうち1割を負担した。
都道府県別に15年4月審査分の1人当たり費用を見ると、介護サービスの利用費は沖縄が21万2400円と最も高く、石川の20万5400円、鳥取の20万4900円と続く。介護予防サービスは福井の4万4000円が最高で、次いで沖縄の4万3900円、鳥取の4万3800円だった。 

●平成25 年度「介護給付費実態調査」の結果
厚生労働省が発表した「平成25 年度『介護給付費実態調査』の結果」は次の通り(要約)。
「介護給付費実態調査」は、介護サービスの給付費の状況を把握し、介護保険制度の円滑な運営と政策の立案に必要な基礎資料を得ることを目的として行っている。
調査の範囲は、各都道府県の国民健康保険団体連合会が審査したすべての介護給付費明細書と給付管理票を対象としている。なお、福祉用具購入費、住宅改修費など市区町村が直接支払う費用(償還払い)は含まない。
今回公表する結果は、毎月公表している月報のうち、平成25 年5月審査分から平成26 年4月審査分を年度報として取りまとめたもの。

【調査結果のポイント】
○介護予防サービス及び介護サービスの受給者の状況
・年間累計受給者数 5,715 万 9,200 人 (前年度に比べ 249 万8,900 人(4.6%)の増加)
介護予防サービス 1,246 万 600 人 (前年度に比べ 75 万2,800 人(6.4%)の増加)
介護サービス 4,472 万 7,300 人 (前年度に比べ 174 万8,000 人(4.1%)の増加)※平成25 年5月から平成26 年4月の各審査月の受給者数を合計したもの

・年間実受給者数 566 万 500 人 (前年度に比べ 22 万9,900 人(4.2%)の増加)
介護予防サービス 143 万 400 人 (前年度に比べ 8 万8,400 人(6.6%)の増加)
介護サービス 455 万 3,600 人 (前年度に比べ 16 万8,400 人(3.8%)の増加)

※平成25 年4月から平成26 年3月の各サービス提供月の介護予防サービス又は介護サービス受給者について名寄せしたもの

・受給者1人当たり費用額
(1)サービス種類別にみた受給者1 人当たり費用額―平成26 年4月審査分の受給者1 人当たり費用額は157.2 千円となっており、平成25 年4月審査分と比較すると0.4 千円減少している。
(2)都道府県別にみた受給者1 人当たり費用額―平成26 年4月審査分における受給者1 人当たり費用額を都道府県別にみると、介護予防サービスは沖縄県が43.5 千円と最も高く、次いで福井県が43.2 千円、鳥取県が42.8 千円となっている。介護サービスでは、沖縄県が211.9 千円と最も高く、次いで石川県が205.3 千円、鳥取県が205.0 千円となっている。